天野将之・特任助教の研究プロジェクト「CapsidのC末端9アミノ酸に関する研究」が

「武田科学振興財団・医学系研究奨励」に採択されました。11月に東京で贈呈式が開催されます。

【採択された研究プロジェクトの概要】

ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のcapsid蛋白質は、HIV-1粒子の内部でウイルス遺伝子を包み保護する円錐状の殻を形成する、HIV-1の増殖に必須の構造蛋白質です。HIV-1が新たに細胞に感染する際に、細胞内でcapsidの殻が壊れ(“脱殻”と呼ばれています)、ウイルス遺伝子が感染細胞の核内へ送られます。この“脱殻”過程の詳細(いつ、どのような機序でcapsidの殻が壊れるのか)について未だ不明な点が多いですが、脱殻時にcapsidの殻がスムーズに壊れるためには、capsid蛋白質がその構造上、ある程度の“不安定性”を有する事が必要であると考えられます。Capsid蛋白質の様々な部位を欠損させた変異体を網羅的に作成し、独自の方法で変異capsid蛋白質の安定性を評価した結果、capsid蛋白質に“不安定性”を寄与するアミノ酸領域を新たに同定しました。同定したcapsid蛋白質上のアミノ酸領域を欠損したHIV-1変異体を作成し、電子顕微鏡で欠損変異HIV-1の形態を観察したところ、ウイルス粒子内の円錐状capsid殻が過剰に凝集している事を示唆する所見が得られ、また欠損変異HIV-1では細胞への感染性やウイルスの増殖能力が著しく障害されている事が判りました。これらの結果から、capsid蛋白に“不安定性”を寄与するアミノ酸領域が存在する事によりcapsid蛋白質の安定性は低下するものの、HIV-1の増殖に対しては有利に作用している可能性が示唆されました。今後も本現象に関する検討を重ねる事により、HIV-1のライフサイクルにおける、脱殻を含めたcapsid蛋白質の詳細な動態解明へ進展し得る可能性があります。

公益財団法人武田科学振興財団 医学系研究奨励 http://www.takeda-sci.or.jp/assist/medicine.html